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【改めて学ぼう】選挙のしくみ

読者の皆様、本格的に暑くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は、先日行われた参議院議員選挙をベースに、選挙の仕組みについて記事にしてまいりたいと思います。

普段御子息が、中学校の教科書の内容(社会-公民)からどのようなことを学んでいるのかを改めて確認して頂き、ご家庭での会話のきっかけにでもなれば幸いでございます。
どうぞよろしくお願いします。

選挙とは

日本国憲法では、政治の最終的決定権は国民にあるということ(国民主権)が三大原則の一つとされています。

このことからすれば、国民の一人一人が、例えば憲法9条の改正にについて賛成or反対を考え、議論に参加することが望ましいとも思えます(直接民主制)。

しかし、全国民が同じ時間・場所に集まることは現実的に不可能でありかつ、国民全員が充分な議論を果たすための材料(資料)や知識を持ち合わせているとは限りません。

そこで国民は、代表者(議員)を通じて国会で審議を重ね、その決定に従うという形態が国政で採用されています(間接民主制)。

とすれば国民としては、できる限り自分の政治的意思に近い議員を国会に送り込むこと(選挙)が、主権を行使する上で最たる意義を持つことになります。

これを裏から見れば、選挙制度自体が、国民の意思(民意)を反映するものでなければならず、そこで現行の参議院議員選挙では、大きく二つの仕組みが設けられています。

選挙区からの選出

選挙区制とは、全国をおおよそ都道府県に単位の選挙区に分けて、それぞれから当選者を出す仕組みをいいます。

当選者一人あたりに対する有権者の数(一票の価値)をできるだけ均衡にすべく、
鳥取と島根、徳島と高知をそれぞれ一つの選挙区として有権者数を保ち、かつ各選挙区の有権者数に応じての定数(1~6人)が定められています。

趣旨

前述しましたように選挙に民意を反映させるためには、有権者と候補者社との間に、一定の距離を保たなくてはなりません。
遠すぎると、候補者が掲げる政策が有権者に届きにくくなり、逆に有権者もどの候補者に政治的意思を委ねるべきかがわからなくなるからです。

具体的には、候補者の選挙期間中の活動には場所的にも金銭的にも限りがあることから、もし選挙区割りがなければ、結果としてTV等メディア露出の多い候補者(芸能人や元スポーツ選手等)に親近感を抱き、選挙自体が、政策の論戦による議員の選出というより、候補者の人気投票になってしまうおそれがあるのです。

このようなことから、参議院議員選挙では、選挙区制が採用されております(今回は参議院124議席についての選挙にて、74議席が選挙区で争われました)。

問題点

このように地域に根ざして候補者はしっかり選挙活動をし、有権者もそれを見極めることができる点が選挙区制の長所であります。

ただ、選挙区から1名の当選者しか出ない一人区においては、以下のような問題が生じる場合があります。

鹿児島 選挙区
定数1/有権者61万人
Oさん(自民) 29万票
Gさん(無所属) 21万票
Mさん(無所属) 11万票

※ 数字はおおよそです。

この点、今回の選挙での鹿児島選挙区を一つのモデルとして上のような表にして説明を続けますと、

29万票を獲得しOさんは当選しているのですが、落選したGさん・Mさんがそれぞれ得た21万票・11万票の合わせて32万票が死票(当選者に投じられなかった、報われない票)になっていることを表してもいます。

つまり鹿児島選挙区では、過半数にあたる32万の有権者がOさんを支持していないということになり、Oさんの当選が民意を反映した結果とは言い難くなるのです。

では仮に二位のGさんまでを当選とした場合はどうでしょう?
確かに29万+21万で、50万人の民意を反映していることになります。

しかしこれは前述の通り、そもそも選挙区割りが当選者と有権者の数のバランスを取りつつ行われていることから、
他の選挙区の定数も二倍にしなければ一票の価値に差が出るという、別の問題が生じてしまいます(これを議員定数不均衡といい、選挙の有効性が裁判となる場合があります)。

比例代表制

そこで、(一票の価値が問題とならないよう)全国を一つの選挙区とし、かつ(なるべく死票が出ないよう)政党の得票数に応じて議席配分するのが比例代表制です。

今回の参議院選挙においても50の議席が、比例代表制で争われました。下の簡素化した表に基づいて、説明を続けます。

党派名 得票率 獲得議席
自民 35.4% 19
立民 15.8% 8
公明 13.1% 7
維新 9.8% 5
共産 9% 4
国民 7% 3
れいわ 4.6% 2
社民 2.1% 1
N国 2% 1
安楽死 0.5% 0

議席の単位が小数点以下や分数にはならないことから、例えば得票率が15.8%だった立民党は、50の議席の16%にあたる8議席を獲得しています。

同様に、50の議席の10%にあたる5議席を得票数9.8%で日本維新の会が、得票数9%の公明党が4議席(本来なら4.5議席)を獲得したというように、50の議席がおおよそ比例配分されています。

このように各党が得票数に応じて議席を獲得することで、可能な限りで死票が少なくなっている分、民意を反映した結果となっているとはいえます。

しかしだからといって、参議院選挙の全てを比例区で行うことは妥当ではありません。

なぜなら、前述しましたが、全国区となると有権者と候補者社との距離がどうしても遠くなり、結果としてTV等メディア露出の多い党や候補者が当選しやすい傾向となるからです。
選挙によっては、党が人気票を集めるべく、著名人を比例区で立候補させていると思われる場合もあります。

また、比例代表制は‘政党に対する投票’という性質上、先の鹿児島選挙区の表でのGさんやMさんが比例区での立候補はできないという意味で、民意の反映といっても限界はあります。

雑感

以上のように、ざっくりと参議院議員選挙のしくみについて説明をしてまいりましたが、最後に私なりに今回の選挙の雑感を述べます。

上述しましたように、選挙において最も大切なことは、民意が反映されることです。そのための選挙区制や比例代表制なのです。

しかしそれ以前に、主権者たる国民の中の有権者(18歳以上の男女)が選挙に行かなければ、政治は少数の人間によって決定されていることになります。

実際に今回の投票率は48.8%と統計史上最低レベルとのことですが、現在の国会は、憲法改正や原発、少子高齢ひいては年金や消費税……等、衆議院・参議院が審議を重ねることで、最も妥当と思われる結論を出していくべき問題が山積みです。

ならば、もう少しメディアを通じて、今回の選挙の重要性を有権者にアピールされるべきではなかったのではないかと、私は思いました。

選挙期間中、民放各社が芸人の闇営業問題を大きくクローズアップすることが百歩譲って許されるとしても、公共放送機関たるNHKは、各地の街頭演説の模様等を視聴者に伝える責務があったように思います。

今回のように、れいわ新選組等の諸派の選挙活動が、公職選挙法の政党要件を満たしていないがゆえ、または放送法上の政党間の公平を図るべく放送しにくかったのだとしても、NHKだけは国民の側に立ち、多く有権者が街頭演説に集まっていた事実を、今回の選挙への国民の関心度として伝えるべきだったと私は思います。

このことは、その他の事件・事故に比べ報道の公平・中立性を欠いているように感じ、かつ意図的に今回の投票率を下げようとしていたのではないかとも思えました。

とはいえ、私がれいわやN国党を推していたというわけではなく、やはり有権者の一人一人が、マスメディアに頼り過ぎることなく、他からの情報をも有権者たる自覚を持って判断し、選挙に臨むことが大切(議会制民主主義の正当性の根拠)だと再認識しました。

まとめ

最後までご覧いただき、有り難うございます。

「中学生の頃、ここまで習ったっけ?」と感じられた保護者様もおられるかとは思います。

ただ公民(政治)の分野にて、「衆参の定員や任期、被選挙権の年齢等はそうなっているからそう、数字だけを覚えろ!」といっても、多くの中学生にとっては何のインパクトも説得力もないでしょうから、私はそのような頭ごなしの授業はせず、制度趣旨までさかのぼって授業するようにしております。

そうした方が、「選挙区」や「比例代表」といった用語に抵抗がなく頭に入り、数字を覚えることは後から着いていってるようです。

それはさておき、今回の選挙においては受講生たちが教室にて、『NHKをぶっ壊す!』と何度も振り付きでいっているのが印象的でした。
こういう機会こそ、我々大人が彼らの関心を広げていくべき場面だとも思っております(前回記事-ゲーム依存の対処法-も是非ご覧ください)。

最後になりましたが私、福岡市西区今宿駅前で学習塾を営んでおります、長澤倫康と申します。とこれからも塾での運営上で気づいたこと等を、記事にしてまいりたいと思います。

よろしくお願いします。

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長澤 倫康 (ながさわともやす)

長澤 倫康 (ながさわともやす)

藍洋塾の代表者兼、文系科目の担当をしています。 司法試験受験を重ねる傍ら学習塾に勤務し、子供達とふれあう中で教育に熱意を抱き、2012年に福岡市西区今宿駅前で開業しました。 現代の子供達に無限の可能性を感じつつも、日々起こる様々な問題に対し実力を発揮できていない実情を、社会に問いかけるべくブログを展開してまいる所存でございます。

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